ブロッキング(Blocking)とは、ポリ袋同士がくっついて開きにくくなる現象 のことです。
袋を開けようとしたときに「口が開かない」「一枚ずつ取りにくい」という状態は、ほとんどがブロッキングによるものです。
これは製袋時の熱・圧力・静電気・素材特性などが原因で発生します。
ブロッキングが起こる主な原因
ブロッキングは複数の要因で起こります。
代表的なものを分かりやすく解説します。
① シール部分の熱が残ったまま重なった
製袋機で袋を作る際、シール直後のフィルムがまだ温かい状態 で重なると、フィルム同士が“軽く溶着”したようにくっつくことがあります。
特に
- 高速ライン
- 厚みが薄い袋
- シール幅が大きい製品 で起こりやすい現象です。
② フィルムの静電気
ポリエチレンは静電気を帯びやすいため、袋同士が吸い寄せられてくっつくことがあります。
乾燥した季節や低湿度の工場で発生しやすい現象です。
③ 素材特性(HDPE・LDPE・LLDPE)
素材によってブロッキングの出やすさが異なります。
- LDPE → もっともブロッキングが起きやすい(柔らかい素材)
- LLDPE → 適度に発生する(柔軟で密着しやすい)
- HDPE → 起きにくい(硬くて吸着しにくい)
透明袋・印刷袋・食品袋に LDPE が使われることが多く、その都合でブロッキングが頻発しやすくなります。
④ 保管時の圧力・温度
保管中に
- 高温
- 重量のかかった状態
- 長期間の圧縮 が発生すると、フィルム同士が密着してブロッキングを起こすことがあります。
ブロッキングが発生しやすい袋の特徴
以下のような袋は特に発生しやすくなります:
- 薄いLDPE袋
- シール幅の広い袋
- 巻取り(ロール)形状のフィルム
- 高速製袋ラインで作られた袋
- 大量に重ねて保管する袋
- 夏場・高温の倉庫で保管した袋
ブロッキングのデメリット
- 袋が開きにくい
- 一枚ずつ取りにくい
- 作業効率が下がる
- 現場でストレスが増える
- 自動包装機に通らない場合もある
特に食品工場・製造ラインでは大きな問題となることがあります。
ブロッキングの防止方法(製造側の対策)
製袋メーカー側が行う一般的な対策は以下の通りです。
① エンボス(凹凸加工)
袋に細かい凹凸をつける加工を行い、袋同士の密着を抑えることができます。
食品用袋・透明袋でよく採用されます。
② スリップ剤・アンチブロッキング剤の使用
フィルムに添加剤を入れることでくっつきにくくし、滑り性も良くなります。
ただし用途によって使用量を調整する必要があります。
③ 冷却時間・巻取り条件の調整
シール直後の熱を冷ます時間を長くしたり、巻き取りのテンションを調整することでブロッキングを軽減できます。
④ フィルムの材質変更(LLDPEへの切替など)
どうしてもブロッキングが課題になる場合、素材の見直しも有効な手段です。
使用者側(お客様)の対策
- 直射日光や高温を避けて保管
- 袋の重ねすぎを避ける
- 使用前に軽く空気を入れて広げる
- 厚みを上げる、素材を変える
などである程度改善できます。
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